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職業がんをなくす患者と家族の会 結成宣言

職業がんをなくす患者と家族の会 結成宣言

  日本においては、職業がんは1936年ガス発生炉労働者に発生した肺がんに始まり、戦時中に毒ガス工場に従事した労働者の肺・気道・消化管がん等、50年代後半から60年ごろヘップサンダル製造においてベンゼンに曝露された人の骨髄がん・白血病、60年代後半の京都友禅染物職人の膀胱がん、戦後から70年代の銅精錬工作業者(ヒ素への曝露が多い)の肺・肝臓がん等、ベンジジンなどの芳香族アミンに曝露された労働者に発生した膀胱がん等、70年代北海道のクロム精錬工場労働者の肺がん等に続き、石綿曝露による中皮腫・肺がん等は全国的な広がりを見せており、近年では校正印刷職場で1,2-ジクロロプロパン・ジクロロメタンに曝露された労働者に発生した胆管がん、更には昨年12月発覚したオルトトルイジンなどの芳香族アミンに曝露された労働者に多発している膀胱がん等が発生している。このように職業がんの多発事案が後を絶たないのは、職場の有害物質の曝露対策ができていない証拠と言っても過言ではない。
  一方、日本における年間がん死亡は36万件を超えているが、そのうち職業要因によるものは5%程度(2012年イギリスのレポートでは5.3%)とされ、年間1万8千人が職業要因のがんで亡くなっているものと推定されるが、2014年の労災認定件数はわずか933件であり(うち920件はアスベストによる中皮腫と肺がん)、殆どの職業がんが見過ごされている状況にあると言ってよい。
  「本来職業がんはその原因に対して適切な予防対策を講じればなくすことができるものである」ことから考えれば、国の職業がん対策の施策やその取り組みが不十分であると言わざるを得ない。

  本日、私たちはそのような不十分さによって職業がんに罹患した者及びその家族、或いは有害化学物質への曝露を受けてしまった者達が集まり、専門家や支援者と共に職業がんをなくす患者と家族の会を設立した。本会は、国、業界その他への働きかけを継続的に行い、埋もれている職業がんの掘り起こしや労災認定に取り組んでいる者への支援をし、広く知らせていく活動を通じて、職業がんをなくすことを目指すものである。
  以上、宣言する。

 
2016年6月11日 職業がんをなくす患者と家族の会結成総会参加者一同


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