休憩をはさんで、ROUAN塾第3期の開校式に続きます。
実行委員会を代表して前田さんがあいさつされ、平安さんよりこれまでおROUAN塾の経過と展望についてのお話がありました。ROUAN塾はただ聞くだけの座学ではなく自分たちの直面している課題を提示しそれをどう解決していくかという「思考と実行」が求められる点を述べられていたことが印象的でした。
『労働組合が労働安全衛生活動に取り組む意義』
化学一般労連顧問 堀谷昌彦
今回の講演は3部構成です。
1.労働相談から労組を結成し職場改善を進めていった事例より(実践)
2.労組が労安に取り組む意義(本題)
3.「信念を持つ者の力」を知れ!(組織と人の関わり)
1-1.福井県膀胱がんの多発事案
この問題は、一人でも加入できる合同支部のある組合員が昨年9月定期大会で「職場でがんが多発している」という訴えから始まりました。直ちに上部団体の関西地本は職場で取り扱われてきた化学物質とその曝露状況、発がん実態を調査し現地にて発がん者も参加する中、報告会を開催しました。その後も発がん者は増え、現在7名が発がんしています。
労組結成後、団体交渉や日常活動を通じて職場改善を進めてきたこと、厚労省要請行動をしたこと、国会質問の要請を行ってきたこと、労組に入って一緒に職場改善をしようと他事業場へと宣伝を開始したことなどを紹介しました。
また、6月11日に職業がんをなくす患者と家族の会を結成し、「これ以上私達のようなものを増やしたくない」と訴える田中代表の言葉も紹介しました。第2回職業がんをなくそう集会は福井で開催予定です。
1-2.三重県有機溶剤ばく露による健康障害の事案
三重県にあるT支部に「職場の有機溶剤ばく露がひどく、何人も体調を崩している」という相談が持ち込まれ、関西地本は職場で取り扱いがあった化学物質とその曝露状況、健康障害の実態調査を行いました。
職場で主として使用され曝露が激しかった物質は、ブチルセルソルブ、耐熱顔良、硫酸、苛性ソーダ、ジクロロメタン、IPA、MEK、サンドブラストによる粉じんなどでした。ばく露を受けた労働者には肺疾患、体調不良、体重減ほか様々な症状が現れていました。
化学物質の適切な取り扱い方法と労基法・安衛法・労組法を学びながら、労組を結成し、団体交渉や安全衛生委員会で職場改善を進めました。
また残業代の一部不払い問題や有機溶剤の地下浸透などの改善も労基署の力を利用する中、改善させた経験も紹介しました。
2-1.「労安取り組まんで、なにが労働組合じゃ」京都木下恵一氏語録
健康に家を出て、健康に帰ってくるのが当たり前。職場における健康維持と増進は事業者の責務です。快適職場とは「行かないと損しちゃう」職場。闘い無くしては安全・快適はありません。
木下さんが若いころ会社で事故があり失明してしまった労働者がおり、その親戚の方が当時役員をされていた木下さんに「この子の目を返してくれ」と迫られたそうです。以来、労安活動は労組がすべき最優先課題であることを訴え続け実行して来られました。
また、労安活動は健全な労使関係を構築数る最強のツールなのです。労基法・労安法はアルバイトにまで適用されますし、安全衛生に関する要求はこちらが信念をもって問いかければ相手は避けることができません(誰でも事故や怪我はあかんと思っているから)。労安がしっかり定着しているところは、組合員が周囲のことを日常的によく観察して改善する文化が形成されているため、殆どすべての労働条件の向上につながります。これを「いいところは全部いい」と言います。
2-2.「労働組合の価値は予防してこそなんぼ」
医者は患者を治し、弁護士は依頼者の権利を守る。労働組合は怪我や病気を予防し、権利を向上させることができる唯一の(法的)組織です。労組の主戦場は現場にあり。予防活動をより活発に行うことが重要になります。ひどい目にあった労働者がいたり、裁判で負けてしまったとしても、「悔しさは予防で晴らす」のが労組の本流です。また、どうしたらいいのか困った時はまずは可視化することが大事です。怪我や疾病が続いているのは経営者も恥ずかしく思ってます。
3-1.たった一人でも信念を持つ者の力
福井の膀胱がんが多発した事業所の組合員が言っています。「田中さんがいなかったら、今でもあの酷い作業をさせられている。」たった一人でも信念を持つ者が持つ力というのは計り知れないのです。更に、労組が結成されれば仲間を守る闘いに継続性と発展性(横への広がり)が生まれます。マスコミも真面目に働くものの視点からこれはおかしいということは自信を持って報道できます。信念を持つものには人が寄ってきますし運動が広がります。
3-2.熱い焼印:義を見てせざるは勇無きなり
私が入社する20年も前にビスクロにばく露され鼻腔がんに罹患していたKさんがいました。労災認定のために尽力している最中肺がんを原発し労災認定となりました。お見舞いに行ったときにKさんはやせ細り死を待つばかりで横たわっていました。娘さんからは「元気で会社に入ったのに、労働組合はいったい何をやっていたんですか!」と厳しい言葉が・・・これは中途半端ではできない。涙で何も見えなくなる中、熱い焼印を押された気持ちでした。
「労安は10年やって一人前」今年ご逝去された辻村一郎同志社大学名誉教授の言葉です。立場を明確にして取り組んでいくことが重要です。
「私はこっちで頑張ります」決意を固めた出来事でした。
3-3.リーダーシップと適材適所
全員参加はどんな組織でも重要なことですが、リーダーシップについては深く掘り下げられない傾向があります。ところが組織を活性化させるにはこのリーダーシップというのはものすごく重要です。
組合員が得意なことを一生懸命取り組んでいける適材適所を保障するには誰かが委員長なり書記長を「俺がやるよ」と言わなければなりません。これを交代でやってうまくいっている組織というは見たことがありません。一人でやり続けるのはしんどいですから複数人で助け合って幹部をやり続けることがとても大切なのです。ワンマン運営にならないように公私混同やハラスメントを予防することも重要です。私の行動基準は「機関紙に書けないことは全てダメ」。皆さんも何かわかりやすい基準を考えてみて欲しいと思います。
講演後、熟成紹介を行い記念写真撮影。
八木さんが閉会あいさつをされました。
その後、懇親会でおいしい料理をいただきながら楽しく会話を楽しみました。
カラオケも行っちゃいましたが、金さんがうまいのでびっくりでした。
(堀谷)
実行委員会を代表して前田さんがあいさつされ、平安さんよりこれまでおROUAN塾の経過と展望についてのお話がありました。ROUAN塾はただ聞くだけの座学ではなく自分たちの直面している課題を提示しそれをどう解決していくかという「思考と実行」が求められる点を述べられていたことが印象的でした。
『労働組合が労働安全衛生活動に取り組む意義』
化学一般労連顧問 堀谷昌彦
今回の講演は3部構成です。
1.労働相談から労組を結成し職場改善を進めていった事例より(実践)
2.労組が労安に取り組む意義(本題)
3.「信念を持つ者の力」を知れ!(組織と人の関わり)
1-1.福井県膀胱がんの多発事案
この問題は、一人でも加入できる合同支部のある組合員が昨年9月定期大会で「職場でがんが多発している」という訴えから始まりました。直ちに上部団体の関西地本は職場で取り扱われてきた化学物質とその曝露状況、発がん実態を調査し現地にて発がん者も参加する中、報告会を開催しました。その後も発がん者は増え、現在7名が発がんしています。
労組結成後、団体交渉や日常活動を通じて職場改善を進めてきたこと、厚労省要請行動をしたこと、国会質問の要請を行ってきたこと、労組に入って一緒に職場改善をしようと他事業場へと宣伝を開始したことなどを紹介しました。
また、6月11日に職業がんをなくす患者と家族の会を結成し、「これ以上私達のようなものを増やしたくない」と訴える田中代表の言葉も紹介しました。第2回職業がんをなくそう集会は福井で開催予定です。
1-2.三重県有機溶剤ばく露による健康障害の事案
三重県にあるT支部に「職場の有機溶剤ばく露がひどく、何人も体調を崩している」という相談が持ち込まれ、関西地本は職場で取り扱いがあった化学物質とその曝露状況、健康障害の実態調査を行いました。
職場で主として使用され曝露が激しかった物質は、ブチルセルソルブ、耐熱顔良、硫酸、苛性ソーダ、ジクロロメタン、IPA、MEK、サンドブラストによる粉じんなどでした。ばく露を受けた労働者には肺疾患、体調不良、体重減ほか様々な症状が現れていました。
化学物質の適切な取り扱い方法と労基法・安衛法・労組法を学びながら、労組を結成し、団体交渉や安全衛生委員会で職場改善を進めました。
また残業代の一部不払い問題や有機溶剤の地下浸透などの改善も労基署の力を利用する中、改善させた経験も紹介しました。
2-1.「労安取り組まんで、なにが労働組合じゃ」京都木下恵一氏語録
健康に家を出て、健康に帰ってくるのが当たり前。職場における健康維持と増進は事業者の責務です。快適職場とは「行かないと損しちゃう」職場。闘い無くしては安全・快適はありません。
木下さんが若いころ会社で事故があり失明してしまった労働者がおり、その親戚の方が当時役員をされていた木下さんに「この子の目を返してくれ」と迫られたそうです。以来、労安活動は労組がすべき最優先課題であることを訴え続け実行して来られました。
また、労安活動は健全な労使関係を構築数る最強のツールなのです。労基法・労安法はアルバイトにまで適用されますし、安全衛生に関する要求はこちらが信念をもって問いかければ相手は避けることができません(誰でも事故や怪我はあかんと思っているから)。労安がしっかり定着しているところは、組合員が周囲のことを日常的によく観察して改善する文化が形成されているため、殆どすべての労働条件の向上につながります。これを「いいところは全部いい」と言います。
2-2.「労働組合の価値は予防してこそなんぼ」
医者は患者を治し、弁護士は依頼者の権利を守る。労働組合は怪我や病気を予防し、権利を向上させることができる唯一の(法的)組織です。労組の主戦場は現場にあり。予防活動をより活発に行うことが重要になります。ひどい目にあった労働者がいたり、裁判で負けてしまったとしても、「悔しさは予防で晴らす」のが労組の本流です。また、どうしたらいいのか困った時はまずは可視化することが大事です。怪我や疾病が続いているのは経営者も恥ずかしく思ってます。
3-1.たった一人でも信念を持つ者の力
福井の膀胱がんが多発した事業所の組合員が言っています。「田中さんがいなかったら、今でもあの酷い作業をさせられている。」たった一人でも信念を持つ者が持つ力というのは計り知れないのです。更に、労組が結成されれば仲間を守る闘いに継続性と発展性(横への広がり)が生まれます。マスコミも真面目に働くものの視点からこれはおかしいということは自信を持って報道できます。信念を持つものには人が寄ってきますし運動が広がります。
3-2.熱い焼印:義を見てせざるは勇無きなり
私が入社する20年も前にビスクロにばく露され鼻腔がんに罹患していたKさんがいました。労災認定のために尽力している最中肺がんを原発し労災認定となりました。お見舞いに行ったときにKさんはやせ細り死を待つばかりで横たわっていました。娘さんからは「元気で会社に入ったのに、労働組合はいったい何をやっていたんですか!」と厳しい言葉が・・・これは中途半端ではできない。涙で何も見えなくなる中、熱い焼印を押された気持ちでした。
「労安は10年やって一人前」今年ご逝去された辻村一郎同志社大学名誉教授の言葉です。立場を明確にして取り組んでいくことが重要です。
「私はこっちで頑張ります」決意を固めた出来事でした。
3-3.リーダーシップと適材適所
全員参加はどんな組織でも重要なことですが、リーダーシップについては深く掘り下げられない傾向があります。ところが組織を活性化させるにはこのリーダーシップというのはものすごく重要です。
組合員が得意なことを一生懸命取り組んでいける適材適所を保障するには誰かが委員長なり書記長を「俺がやるよ」と言わなければなりません。これを交代でやってうまくいっている組織というは見たことがありません。一人でやり続けるのはしんどいですから複数人で助け合って幹部をやり続けることがとても大切なのです。ワンマン運営にならないように公私混同やハラスメントを予防することも重要です。私の行動基準は「機関紙に書けないことは全てダメ」。皆さんも何かわかりやすい基準を考えてみて欲しいと思います。
講演後、熟成紹介を行い記念写真撮影。
八木さんが閉会あいさつをされました。
その後、懇親会でおいしい料理をいただきながら楽しく会話を楽しみました。
カラオケも行っちゃいましたが、金さんがうまいのでびっくりでした。
(堀谷)
| 11:56
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コメント
[1] 辻村先生の言葉 | 2017/02/12 15:05
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木下恵一さんの言葉は素晴らしい!!
木下恵一さんの言葉は素晴らしい!!